自らをアパッチと呼ぶ男
最近深夜に現れる、自らをアパッチと呼ぶ男。
グリーンベレーに所属しパイロット、アルカイダにも一時期在籍、○○組とも関係が深く、サウジアラビア出身。らしい。日本語はペラペラ。
私が今までに見たなかで1番太いタイヤの自転車に乗り、奴は登場するのである。
「びびらっしょんなぁ」
(訳:ビビらせるなぁ)
私の素直な感想である。
空手をマスターし、暴走族と一人で戦い、前科多数。悪い奴らは大体友達。
「びびらっしょんなぁ」
このままだと彼の武勇伝を延々に聞かされるので、私もハッタリで反撃開始。
「いや僕も格闘技してたんですぅ」
一瞬彼が動揺した気がしたが、
『手を見してみろ』
彼はそう言って私の手をじっくり見たあと、
『嘘つけ』と半分呆れながら睨んできた。
(やばい、バレてる)
とっさに、
「いや、僕、関節技の方なんで、手は小さい方が都合がいいんです」
とまぁ理屈にならない理屈を言ってみた。
彼は不満そうにしながら、
『お前は何してたんや』と興味をもってきた。
「自衛隊とかです」(とかて)
『どこや、伊丹か』(探られてる)
「舞鶴です」
『海軍か』
「そうです、海軍です」
『んん、そうか』
セーフ!奇跡!ちょっと納得してきてる!
たぶん彼は思ったと思う、
(びびらっしょんなぁ)
この後、彼に災難が降りかかることになるのだが、この時の彼はまだ知らない。
ーつづくー
(いや、でも書かれへんやつ)
ー完ー